グリーンブック(2018)おじさん2人の不器用な関係を見届けたい【映画レビュー】

今週のお題「最近見た映画」

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※サムネのセリフは登場人物のセリフです。

白人の運転手と黒人の雇い主ーー

このポスターをみただけで分かる人には分かるはずだ。

「ああ、そういう系の映画か」

そんな言葉が頭をよぎった人は私だけではないだろう。

そういう系ね、というのは

  • おそらく人種差別がテーマ
  • つらい現実を乗り越えてそれでもひたむきに生きる

グリーンブックもこんな感じの映画ではないか、とある程度は想像するのではないだろうか。

まあ「差別だ!」といわれるかもしれないが、人種差別をテーマにした映画は胸をえぐってくる内容が多い。

※例えばアミスタッドの船のシーンはめちゃくちゃしんどかった…

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※あとは種類は違うかもしれないが、戦場のピアニストも。

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上であげた2つの作品はとてもいい映画だと思う。鑑賞する意義はとてもある作品だといいきれる。

だが、どんなに内容が真実に忠実だったとしても私にとってはしんどいのだ。

(もちろん映画の内容はとてもいいことはわかっている。むしろ人生に1回はみたほうがいいと言い切れる)

話は脱線するが私はあんまり実写映画においては人が苦しんだり、思いつめたり、嫌な思いをするのがめちゃくちゃ苦手だ。(アニメは例外。)

いやわかっている。ストーリー的にはそうしたほうが絶対おもしろいし、最後に「ああよかったね」で終わらせるには主人公を絶望的な場面に遭遇させたほうがいいにきまってる。

でもリアルな人間がリアルな演技をすることによって私は強く共感してしまい1週間ぐらいは重い気持ちを引きずってしまうのだ。俳優さんの演技がものすごいということでもある。

マジで個人的な理由すぎて申し訳ないのだが、私はグリーンブックの映画をポスターをみた瞬間、

「ああ、そういう系の映画か。みなくてもいいかな。名作っぽいけど」

と思った。まあかなりポスターで映画の印象をきめてしまっていたワケだ。

公開から2年ほどたってようやく、今回は観る機会を得た。

2018年アカデミー賞で作品賞とのこと。これは期待せずにはいられない!

「すっごい名作っぽいけど、見るか非常に迷う」

「でもこんな機会でもなければ絶対みないな」

悩んだすえにエイヤッッッと覚悟してAmazonプライムでレンタルしてみてみた。

結果、今までにない映画だった。すっごい面白かったです。

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どういう人にオススメ?

  • 人種差別の映画はちょっと…と思う人
  • 最近名作をみていない!でも暗い気分になりたくない!と思う人

私は記事の冒頭で『人種差別がテーマの映画は重い』といったが、この映画はそうではなかった。正直かなり驚きだった。

内容は男2人の友情もの。互いに価値観も何もかもあわない2人。

お互いにお互いの苦労をしり歩み寄っていく映画ですが、それを爽やかに2時間という長時間と感じさせない内容で描いている。

みたことない人にぜったいおすすめする映画です。

あらすじ

イタリア系アメリカ人の粗暴な用心棒・トニーはナイトクラブの用心棒生活をしながら家族を支えていた。

ある日勤め先のナイトクラブが改装工事をすることになり、急に無職になってしまう。仕事を探していると『8週間アメリカの南部でツアーをするピアニストの用心棒をしないか』と持ちかけられ、ジャマイカ系アメリカ人のドクターシャーリーと出会う。

最初はしぶしぶといったトニーだったが、次第にドクターシャーリーのことをしっていくうちに心を開いていく。

黒人差別が色濃く残るアメリカ南部でツアーをしていくうちに深まる男2人のバディもの映画。

タイトルの『グリーンブック』とは、黒人の人でも安全に泊まれるガイドだそうです。

ネタバレ感想

人種差別がテーマでここまでリアルに爽やかに描いた映画はない

最初にも書いたが、人種差別がテーマの映画は重くて辛くてしんどい、という私の先入観をとっぱらってくれた。

もちろんまったく主人公たちが辛い目にあわないわけない。

例えば白人のお金持ちが集まるレストランで演奏することがきまっていたドクターシャーリーの楽屋がほこりっぽい物置だったり、トイレが外だったり。

それに対して憤るトニーに対して店のオーナーがいうことには

「それが伝統ですから」

「そういう決まりなんです」

そういってのける店のオーナーにはまったく悪気はなく、ただそうだから。という思考が停止した理由でシャーリーを扱うのがものすごく印象に残った。だってシャーリーはもうすぐお客の前でピアノを演奏するというのに、そこから一歩降りたらなぜそんなぞんざいな扱いができるのか。

そんな疑問を投げかけつつ、2人のかけあいが続いていく。目が離せなかった。

脚本・演出について

映画の構成がいい

正直2時間があっというまで気がついたら見入っていた作品でした。飽きさせないようにみている人の気持ちをトニーやシャーリーに代弁させながら進行していたのもよかった。

シャーリーのおかれた複雑な立場の演出に惹かれた

トニーとシャーリーが移動中で車がエンスト。トニーが車を修理している間に車をおりたシャーリーがみつめる先には畑で黒人たちが黙々と働いている。

シャーリーに気づいた黒人たちは黙ってみつめるその目は「なんでお前はそんなにいい服を着ているんだ」といっているかのようで。

シャーリーと何が違うのか。セリフだけでなく、それとなくいいたいことを観客につたえるのも映画ならではの手法ですよね。

▼予告だと1:28ごろ


【公式】『グリーンブック』3.1(金)公開/本予告

シャーリーはもののけ姫だった

これは私だけかもしれませんが、視聴していてもののけ姫を思い出しました。

人間にもなれず、山犬にもなりきれぬ、哀れで醜い、かわいい我が娘だ!お前にサンを救えるか!?

かんたんな感想記事などで済ませられることではありませんが、自分がどんな人間なのかというアイデンティティの構築ってかなり大事ですよね。

それも模索しながら生きていくのもまた人間なんですよね。

私も自分がどんな人間なのかはもうアラサーですから、それなりに悟ってはいるつもりです。ですが未だに自分のことがわからないことがたくさんあります。

こういう映画を通してより自分のことを知っていけたらなとも思っています。

まとめ

月並みな感想ですが、グリーンブックをみてアカデミー賞に選ばれる作品ってやっぱりすごいんだなと改めて思いました。

あとポスターだけでは面白さは判断できませんね、反省。

久しぶりにケンタッキーが食べたくなります。