本当にこの男が犯人なのか?シリアルキラーの語源になった”イケメン・IQ160・喋り上手”な男の映画『テッド・バンディ』感想・考察

私の観測範囲になりますが、「認知バイアス」という言葉を最近よくきくようになりましたね。ネットではよく「バイアス」と呼ばれています。

最近では認知バイアス関連の書籍が本当によくでているなあという印象です。

認知バイアス(にんちバイアス、英: cognitive bias)とは、認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題である。転じて認知バイアスは、事例証拠や法的証拠の信頼性を大きく歪める。

-wikipediaより引用

ようするに

人間は自分の自覚のない思い込みによって受け取り方を変えてしまうということ

です。

これはとてもやっかいなことです。

例えば、

  • 友達が事業を始めたが、案の定うまくいかなかった(後知恵バイアス)
  • ネットでめちゃくちゃ歌がうまい人がいる。きっと性格もいいんだろうな(ハロー効果)
  • 大きな事故に巻き込まれたけど大したことのない怪我だと思うから出社しよう(正常性バイアス)

などいろいろあります。

この様々なバイアスによってアメリカの人々を翻弄した男の映画『テッド・バンディ』をみました。

ちなみにR-18気味なところが1箇所ありますので、後ろと家族に注意です。

グロさは控えめです。

 

映画をみた感想

雑感

エンタメとしては単調かと思います。

なぜならおそらく大多数の人がこの映画を見る前に

「テッド・バンディとはシリアルキラーの語源になった人物である」

「すでに刑が執行されていること」

を知っているためです。

ネタバレを最初からくらっているので、そこまで最後の展開がどうなるのかとハラハラするものではありません。

ですが『こういった人間が過去にいたんだ。』ということを感じるのにはまさにぴったりかと思います。

それぐらいリアルな演技と空気なのです。

映画としてみれば「自分は絶対だまされない」「なんで周りの人は気づかないんだ」と思うものです。

自分の家族や恋人が凶悪事件の犯人かもしれないというのはほとんどの人がおもわないことでしょう。

(これが正常性バイアスというものなのですが)

バリンジャー監督は自身の娘2人が『テッド・バンディ』について知らないと答えたことがこの映画を作ろうと思ったきっかけだそうです。

この映画を作るべきか真剣に考え始めた時、私は2人の娘たちに電話しました。当時、彼女たちは24歳と20歳で、アメリカでもトップクラスの学校に通う、高い知性を持ち合わせていました。けれど、「テッド・バンディをいう人物を知っているか」と尋ねたら、2人とも知りませんでした。

Fan's Voice-【単独インタビュー】『テッド・バンディ』ジョー・バリンジャー監督

「きちんとした見た目や振る舞いだけで人を信用してはいけない」

これをくりかえし伝えたいとバリンジャー監督は何度もインタビューで答えています。

私たちは「テッド・バンディ」を見る前からある程度彼のこと知っているので

『だまされないぞ』

と思えます。

ですが当時のアメリカの人々の反応が映画のなかで何回か流れます。

それをみるとリアルタイムで起きている現実に対してはなかなか難しいことを感じさせてくれますよ。

また私のほうで軽く調べたところ、テッド・バンディは供述の内容を時々によって変えています。

だから何が本当で嘘なのかわかりづらいのです。

もしかしたら本人もちゃんと理解していないのかもしれませんが。

映画でとりあげているのは裁判で彼がやったとされている証拠があるものだけのようですね。

それをふまえてみるとますます困惑するかもしれません。

でもその反応がいいのでしょうね。

ちなみにバイアスにさからえる人の特徴としては

「自分はバイアスにかかりやすいから注意しなくては」

と思える人だそうです。

あとバイアスについて調べて理解している人です。

バイアスについてもっと知りたいならオススメの書籍としてはこちらを推します。

考察:どうしてリズを殺さなかったのか

この映画最大の謎、テッド・バンディはリズをなぜ殺さなかったのか。

私の考えとしては

自分をかばってくれる人として利用できるから

につきるかと思います。

でも彼はリズに刑務所から何度も手紙を送っています。

この映画の最後にはじめて公開されたという手紙を読むことができます。

それを読んでいると『リズにぞっこん』としかみえません。

さらにずっとそばにいてもリズやリズの子に危害をくわえませんでした。

そういうことを考えると一応はテッドなりにリズを愛していた、とみえるかもしれません。

しかしそれでも私は、彼はリズを自分をかばってくれる人としかみていなかったと思います。

自分の目的を達成するためならどんな嘘だったつくのです。

だからこそ捕まったとき嘘の供述や前回とは違った話をしてしまうのです。

 

もちろんこの私の感想にもバイアスがあります。

それは一貫性バイアスというものです。

例をあげるなら

  • 悪い人間は犯罪をするしこれからも犯罪をする
  • いい人は絶対に人を傷つけたりしないし、人を笑顔にさせるのが得意だ

みたいなものです。

黒は黒、白は白。

これはとってもわかりやすいですよね。

でも現実はそうじゃない。

混ざっていることが圧倒的に多いものです。

私の感想もこの一貫性バイアスによるものなのかもしれませんね。

真実はずっとグレーなんでしょう。

でもテッド・バンディの車から証拠がいくつもみつかっていたりリズの証言によると犯罪をしたのは事実です。

詳しくはこちら▼

www.cinemacafe.net

もしかしたらリズのことだけは、本当に大事に思っていたのかも?

それはあなた自身が映画をみて考えてくださいね。

締め

テッド・バンディという人物がいた、ということだけでもこの映画をみる価値はあると思います。

アマゾンプライムで0円でみれますので機会があったらどうぞ。

長くなってしまいました。

今日はこの辺にしたいと思います。 ではまた。