「しゃべるのが苦手なら仕事を変えればいい」「…私の夫は国王なのです」/英国王のスピーチ(2010)【映画レビュー】

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世界情勢が不安定なときに必要なのは人々を迷いなく導けるリーダーだ。

と、言葉にするのはとても簡単だが誰もがそんなカリスマ指導者になれるわけではない。

才能がただあるだけでなく、タイミングや立場も重要だ。

もちろんそれを跳ねのける人もいるだろう。

普通にその立場にいるだけでも大変なのに、もしこの映画の主人公ジョージ6世のように吃音が原因でスピーチが苦手だったらとても大変なところではない。

「王様になりたくない」

と思うのもしょうがないことだ。

これは私の想像だが、人の前にたつことが家業の人はスピーチをするにあたって専門の先生がついて指導にあたることが多いのではないかと思う。

そのぐらいスピーチとは大切なことだ。

しゃべる言葉だけでなく、雰囲気やニュアンス、その人のオーラ。

すべてが必要な要素なのだ。

自信がない人がスピーチをすれば、きいているこちらとしては不安になる。

ひょっとしたら自分のスピーチのせいで国が傾くかもしれない。

ただでさえ吃音でしゃべるのが苦手な人にとっては重すぎる状況だ。

それでもジョージ6世はなんとか立ち向かった。

ときにはそれを呪ったかもしれないが、周りの人に支えられて立ち向かうことができた。

その過程の映画だった。

とてもおもしろかった。

 

 

 

大人になってから自分の弱点と向き合うことの難しさと恥ずかしさ

この映画で何度もジョージ6世は癇癪を起こしている。

それはおそらく彼の養育環境が大きく影響しているのだろう。

ここらへんは映画やウィキペディアをみてほしい。

それでも妻のエリザベス妃は夫を支えたし、自ら率先して動いてライオネルを探し当てた。

普通の妃だったら侍女や側近に依頼させるだろう。

それに吃音の指導をしたライオネルもあえて癇癪を起こさせる発言をしたり一旦は完全にジョージ6世を怒らせてしまう。

この2人のどちらかが欠けていたらジョージ6世は吃音を治すことは難しかっただろう。

この2人はまさに飴とムチ。

さらに王室の人間というのはあまり他人に弱点をみせてはいけない、という暗黙の了解があるのか、ジョージ6世はあえて高慢な態度をとることさえある。

それが人を遠ざける原因にもなっているのだが、王室の人間なんだからしょうがないという雰囲気さえある。

そうするとますます孤立してしまうだろう。

自分の弱点を治したいと思っているのにそれを指摘してくれる人がいないというのは、自ら重石をつけているようなものだ。

大人になると自分に注意してくれる人はがくんと減っていく。

それだけでなく年をとるとプライドが高くなり、自分の弱点や悪いところを治すのは『恥ずかしい』と思う人が増えるのではないだろうか。

そりゃ指摘されたときは顔が真っ赤になるぐらい恥ずかしいし、消えたいと思うかもしれないが、指摘してくれるのが自分をよく知っている信頼できる人だったり、話をきいてくれる人がいればなんとなると思えるだろう。

ジョージ6世もこうやって壁をのりこえてきたのかなあと思うとなんだかジーンとくる映画でした。

『みたことある』キャスト陣がすごいいる

みてて思ったのが『みたことある』っていう人がめちゃくちゃこの映画にでています。

例えばハリーポッターだけでも

  • ヘレナ・ボナム=カーター:ベラトリックス・レストレンジ
  • ティモシー・スポール:ピーター・ペティグリュー
  • マイケル・ガンボン:2代目ダンブルドア

あと有名なのが

  • ジェフリー・ラッシュ:パイレーツオブカリビアン・バルボッサ

ですかね。

びっくりしました。特にジェフリー・ラッシュさんには『鑑定士と顔のない依頼人』でもみていたので驚きました。

私は人の顔はあんまり覚えられないのですが、調べてみるとこんなに知っている人がでていてびっくりしました。

そういう意味でもオススメ。

締め

英国王のスピーチ、みようみようと思っていたのですがズルズルと先延ばしにしてしまっていました。

タイトルだけみて

「うまく話せない人が周りの人に笑われて恥ずかしい思いをするのか…」

と勝手に映画の内容を想像してしまってみれなかったのです。

共感性羞恥が耐えられる気がしない。

と思ったのですが、暗くなりがちな雰囲気をポップにジョークを混ぜてみせてくれる映画でした。

Amazonの見放題から外れるときいて慌てて覚悟を決めてみれました。

面白かったのですがなぜか感想をかくのをあとまわしにしてしまっていました。

こういう映画に限って名作なんですよね。

年内に書ききれて嬉しい。

 

 今日はこの辺にしたいと思います。ではまた。

これを書いた人

 

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