「僕は、最高のストーリーテリングって、人を不快にさせ、困惑させる、悪戯なところがあると思うんですよね。」
アリ・アスター監督がインタビューで答えていたセリフです。
その言葉どおりにおそらく見終わったら一息いれたくなる、そんな映画でした。
私はおそらく映画館でみたら耐えられなくなっただろうなと思う箇所がいくつかあって、家でマイペースでみれたのはよかったです。
それでも私にとってはこの映画は面白かった。
ただグロ耐性がないとキツいですね。サブリミナルグロというのはかなりドキドキしました。
それではミッドサマーの考察と感想についてかいていきたいと思います。
- ホラーは暗さじゃなくても味わえることを教えてくれる
- 2回目をみるとまったくエロさを感じない不思議
- ペレは最初から生贄を探していたのがわかるとゾッとする
- でもきっとダニーにとっては幸せになったんだろう
- 締め
ホラーは暗さじゃなくても味わえることを教えてくれる
ホラーというジャンルはたとえ幽霊がいようといまいと、人間が怖かろうとそうでなくても映画全体が暗いことが圧倒的に多い。
でもミッドサマーはポスターだけをみると、そんな感じはまったくしない。
あと映画のなかでも暗いと感じるのは前半の本当に前半だけであとは基本的に太陽と一緒だ。
でも最後まで不気味で怖い。
これは幽霊がいるからという怖さではなく、意味がわからないということでの怖さ。
実は人間のほうがやばかったという映画は珍しくないが、この映画の特徴は
笑顔で複数の人間が明るくおかしい
というところだろう。
頭では「なんでこんなことをするの」と思うのに、逆らえない。
「だってそれがこの村での常識だし、みんな好意的に接してくれるし、無下にはできないし…」
と思ってしまう。
だからついつい村人のいうことに従ってしまうし、研究のために村を訪れたジョシュのように好奇心もでてきてしまう。
これがもし陰気な村で斧をもった村人が全力で殺しにきたりしたら全力で主人公たちは逃げれたと思う。
ホラーは暗さだけじゃないというところをよく教えてくれた。
2回目をみるとまったくエロさを感じない不思議
念のため吹替と字幕で1回ずつみたのですが、色々調べたあとで2回目をみるとあのシーン、まったくエロく感じないんですよね。
1回目みたときは
「そこまで映すの？」
「まさかそこまでやるの？」
とちょっと驚いたしエロさも感じました。
でも2回目をみたらまったくエロさを感じないんですよね。
裸であのシーンは普通だったらエロさを感じるはずなんですけど、
- ただ子どもを身ごもるための行為
- クリスチャンのことは好きではない
とか色々察してしまったからかなと思います。
2回みたほうがわかりやすいですね。
ペレは最初から生贄を探していたのがわかるとゾッとする
2回目をよくみるとペレは最初から生贄を探していたんだろうな、ということがわかってゾッとします。
はじめからメイクイーンにするつもりでダニーに目をつけていたことがよくわかります。慰めていたり、似顔絵を渡したり。
視聴者からみるとペレはやばいやつなんでしょうけど、あの村の人にとっては外部の人間をつれてくるいい人なんだろうな。
でも本当にペレはそれでいいと思っていたんだ、よね？それも疑問に思います。
あと別の方が考察していましたが、『ダニーの両親の自殺もペレが関わっていたのかも？』というのは納得してしまいました。
それだったらうまくいきますからね。
だとしたら怖すぎる。
でもきっとダニーにとっては幸せになったんだろう
ラストのあの笑顔については、
アスター監督は「ダニーは狂気に堕ちた者だけが味わえる喜びに屈した。ダニーは自己を完全に失い、ついに自由を得た。それは恐ろしいことでもあり、美しいことでもある」
wikiより
という解答をしている。
ダニーは妹が両親を巻きこむかたちで自殺し天涯孤独になった。
本当なら妹を恨んでもしょうがないのに、恨みきれなかったのだろうなと思う。
結果優しくしてくれるクリスチャンに依存しすぎてしまう。
もともとクリスチャンはダニー両親が死ぬ前から別れようとしていたらしいが、決断することができない性格。
優しい性格といえばそうなのだが、その割にはダニーを大切にしきれていない。
あとクリスチャンは友達も大事にできていないよなあ…と思いました。
だれかに依存しすぎるのはよくない、それはダニーもわかっていました。
でもあの村にいればみんなが自分の感情に共感してくれるし、一緒に悩んでくれる。
つまり思いっきり人に依存できるのです。
今の自分を肯定してくれる人がたくさんいることは幸せです。
だからあの笑顔だったんだろうなと思います。
でも人間はいつか変わるものです。
いつかダニーが我にかえったとき、そのとき何が起きるのでしょうか。
しかも過去のメイクイーンはあんなにいたはずなのに、あの村にはいない。
ということはダニーも近いうちに何らかの儀式でいなくなる可能性が高い。
おそらく村人がメイクイーンが我にかえる前に消すんだろうな、と思います。
この映画のあとに何が起きるのかを想像するのもゾッとさせてくれますね。
面白かったです。
締め
去年話題になっていたことは知っていたのですが、ようやくみることができました。
私がビビリなところもあって
「わざわざ怖い映画をみるのに借りるのもな…」
と思っていた矢先にプライムビデオに入ってきたのでこれは運命ですね。
ありがたくみさせていただきました。
ビクビクしながらみていましたが、全体的に画面が明るいので助かりました。
グロは目を隠しながらみました。
でも最後までみれてよかったです。
今日はこの辺にしたいと思います。 ではまた。
