「なぜ自分はこんなに惨めであの人は成功しているのだろう?」←それ全部たまたまです。/実力も運のうち 能力主義は正義か? 著:マイケル・サンデル 訳: 鬼澤 忍(2021)【読書レビュー】

パラパラと開くと難しい感じの哲学本っぽいですが、読み終えると思ったのは

これって最強のメンタル本じゃね?

と思いました。

 

超簡単に要約すると

  • 能力で大学入学を決めていたら格差の固定をより助長することになる
  • なぜなら大学入学に必要な能力ってお金がある家のほうが素晴らしい経歴になったり学力になりやすいから(教育にお金がかけられるから)
  • だから能力で大学入学を決めていたらいつまでたってもお金持ちになれないよ
  • しかもお金持ちの子は「これはすべて自分の実力と努力によって勝ち取ったものだ」と思いやすいよ
  • でも実際は全部運なんだよ←これが1番本書でいいたいこと

という感じですかね。間違ってるかもしれないので実際に自分で読んでみてください。

 

お金をもっている人が留学にいけたり、努力で大企業の内定を勝ち取ったと鼻高々にいうものの実際は全部運だという身も蓋もない話という本です。

 

でも本人は認めたがらず、低所得の人は努力していないからでしょ?と思いがちなってしまいます。

んなわけないだろ…と私は正直感情的になりそうになりました。

 

こういった話はたびたびツイッターでも話題になりますよね。

「ウォール街エース・アナリストが他社に移籍した時、移籍先の成績は多くがその後平凡」…成功なんて環境に紐づき、周囲に強く支えられたもの - Togetter

裕福な家庭の子どもが「俺はただのボンボンではない、生まれは良いが型破りな人間なんだ」という振る舞いをする理由について - Togetter

 

この本はよくいえばメンタルにもききますが、悪くいうならば私のコンプレックスをかなり刺激されまして…感想をかくのがなかなかに難しい本でした。

本の感想なのに自分語りになってしまうという…

 

「じゃあ私がこんなところに生まれたのも運だったのか」

と思わず自嘲してしまいそうになりますが、

「考え方によっては『私は努力が足りなかったんじゃない、ある程度はしょうがなかったんだ』とも捉えられる」

という考えにいきつきました。

それでも努力はある程度は必要ですけどね。

 

もし自分の人生に不満を感じていたり、自分ではどうしようもない悩みを抱えている人にはオススメできるかと思います。

マイケル・サンデル先生がスパーンとあの成功者たち(あなたが羨ましいと思っている人)を一刀両断してくれますよ。

 

 

 

褒め称えてなんだが…

と冒頭で褒め称えましたが、文章はそこそこ読みづらいです。

おそらく原文はわかりづらいだろうに、よく翻訳したなあという感じです。

私がカタカナ文字を理解できていないのと、海外の宗教について疎いのが原因です。

だから完全に理解しようというより、理解できるところだけ読むという感じの読書スタイルになりました。

どうも『リベラリズム』とか『レトリック』とか苦手だなあ…調べても意味を覚えられない(苦笑)

特に心に響いたところ抜粋

私が心に響いたところや関心した部分はたくさんありますが、そのなかで特に心に響いた部分を紹介します。

P170

能力主義社会において貧しいことは自信喪失につながる。
封建社会で濃度の身分に生まれれば、生活はきびしいだろう。
だが、従属的地位にあるのは自分の責任だと考えて苦しむこともないはずだ。
~(中略)~
対象的に能力主義社会の最下層に落ち込めばどうしてもこうした考えにとらわれてしまう。
すなわち、自分の恵まれない状況は、少なくとも部分的には自ら招いたものであり、出世するための最高とやる気を十分に発揮できなかった結果なのだ、と。
人びとの出世と可能にし、称賛する社会では、出世できない者は厳しい判決を宣告されるのである。

つまりあなたが苦しんでいるのはあなたが努力を怠ったからとか、そういう問題ではない可能性があります。

「私がこういう状況になったのは自分が努力をしなかった、足りなかったせいだ」

本当にそれだけが原因でしょうか?とマイケル・サンデル先生は繰り返しこの本の中でいっています。

P185,P192,P199

個人的にはあとはこのページの部分に心ひかれました。

これからの日本がどうたらと語る気はないが

「お金持ちの子って大企業にいけるんじゃね?」と私が大学生だったときの就活のときに薄々感じていたのだが、やはりという感じです。

それも今から約10年ぐらい前の話なので、今はより一層そうなっているのではないでしょうか。

まあなるようにしかならない、と思っているのですがもし自分の子がいたらこういうことを含めて伝えていきたいとは考えています。

確かに「それって運でしょ」と言われたらイラッとする気持ちはわかる

私は親と超絶に仲が悪く、今は絶縁をしています。

「私もこの環境に来るまでに努力をした」

と私も考えている自分がいます。

確かにここに来るまで筆舌に尽くしがたいとても大変な道のりだったのですが、この本によるとそれすらも運だった、ということなのでしょう。

そういわれると少し反発心があります。

確かに運が良かったところもありますが、

「努力したし、がんばったよ底辺は底辺なりに。」

とついつい考えてしまいます。

 

でもこの考えが行き過ぎてしまうと、

『親が嫌なら家をでればいいのに』

と、様々な事情から仕方なくその選択をしている人を見下してしまうことになります。

 

そういう自分にはなりたくありません。

だから私がここまでこれたのは運だった、と改めて思うことにします。

本当に私は幸運でした。

一応いっておくと私はもともと幸運な人間だったと思っていますよ!

 

もちろんこれから不幸なことも起きるでしょうが、最小限の被害で済むように動いていこうと思います。

まあ運なんですよね、それすらも。

色々いったけどなんだかんだでお金持ちの子は大変

まあ嫉妬心丸出しで書いてきましたけど、お金持ちの子はお金持ちの子なりに大変だということも本書ではふれています。

贅沢な悩みだと一蹴されてしまうのでしょうね。

締め

とても長くなってしまいましたが、なんとか暴走せずに感想を書き終えられてホッとしました。

とにかく人に嫉妬してしまう人や、憧れのあの人はああなのになんで自分は、と思ってしまう人は一読の価値ありかと思います。

私も『なんであの人は成功して…』と思ったら全部運だからな!と思うことにします。

読んでよかったです。

 

借りたカエルさんはこちらから

https://chojugiga.com/2017/10/01/da4choju62_0036/

いつもお世話になっています。

 

今日はこの辺にしたいと思います。ではまた。

これを書いた人

 

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